木造阿弥陀三尊像(大善寺)

横須賀市指定重要文化財。

大部分が江戸時代に補修がされているが、胸部や背面には平安末期の作風を色濃く残している。不動明王が本尊となったのは明治以降だが、それまではこの阿弥陀三尊を本尊としていた。

極楽浄土を願う阿弥陀信仰は12世紀ごろから一般的になる。大善寺のある衣笠山は三浦一族の中心であるので、三浦一族の信仰と考えると興味深い。

阿弥陀如来は遥か西方にあるという極楽浄土の仏。こちらから見て右の観音菩薩は死者の魂を蓮の花に乗せて運び、左の勢至菩薩は地獄に落ちないように救済する仏。

平安末期というと、源平合戦の三浦義明・義澄あたりの代となる。そのときから三浦一族は阿弥陀信仰をしていた、となると、吾妻鏡にある三浦一族宗家滅亡(宝治合戦)時、源頼朝の墓所に篭った三浦一族が自害する時みな「南無阿弥陀仏」と唱えていた、という描写が、より生々しいものに思えてくる。

しかし寺院や仏像を多く残した三浦一族だが、意外にも出家した者は少ない。人を殺し、穢れを纏い、それを生業としていた武士は地獄へ行くとされていた。そんな武士の中でも最も猛々しい坂東武者、その頂点に立つほどの力を持った三浦一族は、極楽浄土に連れて行ってくれるという阿弥陀如来に何を見出していたのだろうか。

住宅地から少し離れた静かな境内。日常から切り離されたような緑の空間で思いを馳せてみるのもまた良いかもしれない。

 

素材:檜
造り:一木割矧造
目:彫眼

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